『新しい日常』食糧危機対策、中国のしたたかな戦略から学ぶ⁈
「米中貿易摩擦の中、タイヤが爆売れ」
あるニュースの見出しである。これだけでは何を言っているのか全く分からない。
が、聞いてみると非常に興味深い話。図らずして、小生の脳裏に眠っていた「食糧危機」に関わる、あることを思い起こすことなる。
変化の大きな時代、『新しい日常』を築いていくためにどう備えるべきか?中国の危機管理における戦略から学ぼうとしたのはストックという心の余裕を作ること。そこに至るまでの経緯を共有したく。
ー目次ー
|「米中貿易摩擦の中、タイヤが爆売れ」とは?
2021年1月28日放送のワールドビジネスサテライト(WBS)の中の一報道である。この報道の内容を簡単にまとめると以下の通り。
- 米中対立の一つ、米中貿易摩擦において
- 米国は中国製タイヤに最大25%の制裁関税を課した
- 中国の習主席は、2020年5月の全国人民代表大会で「輸出主導から国内市場」を重視する方針転換を示す
- 企業は方針に従い、雇用を増やし、設備を導入し、国内市場に注力。
- 中国からアメリカ向けのタイヤ輸出は半分に減少するも
- 中国内では、世界に先駆け新車販売台数が回復
- 新型コロナによりマイカー移動が増え、消耗品であるタイヤ需要も高まる
- さて、タイヤの材料である天然ゴムは、その主要生産国であるタイなどで、天候不順や新型コロナが直撃し、生産量は減り、価格が高騰
- タイヤメーカーは材料における合成ゴム比率を上げることに
- 合成ゴムの原材料は原油であり、その安定調達が必要となる
- アメリカからの原油輸入量はこの一年で3倍に急増
- 原油安の恩恵もあり、中国のタイヤメーカーは好調
- 実は貿易摩擦を解消するための米中合意(2020年1月)において、中国が輸入を増やす品目に原油が含まれていた
という内容。報道の仕方もあるが、何となく聞いていると「あ~そうなんだ」で済ましてしまうかもしれない。
しかしながら改めて事の流れを整理すると、中国の先見の明と戦略のしたたかさが見えてくる。いったい去年の1月の段階でどこまで先を見通していたのか?
当時大統領であったトランプ氏は「公正な貿易を実現する歴史的な取引である」と署名式で発言し、米中貿易摩擦において利を得たのは、公正でない取引を正したアメリカの様な雰囲気があった。
|サバクトビバッタと食糧危機
この原油の話は意外であったが、米中合意は中国に利があったのではないかと感じていた背景に「食糧危機」がある。
今でこそニュースとして聞かなくなったが、当時サバクトビバッタの大群が中東からアフリカやインドに猛威を振るい、穀物への被害が問題になっていた。
サバクトビバッタが大発生したきっかけは、2018年にさかのぼり、アラビア半島におけるサイクロン等の異常発生が、半砂漠地帯を潤し、エサとなる草が増え、増殖したことに起因すると言われている。
この食糧危機に影響するこのバッタの話、もともとは、気候変動が影響している様である。地域のエサが枯渇すると移動を繰り返し、行く先々で作物を食い荒らすのが問題となり、国連食糧農業機関(FAO)は「食料危機」に警鐘をならしていた。
群れが一日に移動する距離は150kmという。被害を食い止めるには、殺虫剤による駆除が有効であるが、昨年は新型コロナの感染拡大が障害となった。航空機の国際線が停止され、駆除の専門家や研究者の派遣は殺虫剤散布の機材の運搬が滞っていた。また夜間の外出禁止令等により、バッタの群れの位置の特定が困難となった。
(一部2020年6月頃のニュースから引用)
サバクトビバッタがインドまで到達したことは、去年夏頃のニュースで耳にしたが、ヒマラヤを超え中国に到達したか?は不明。
ただ、中国でもイナゴの大群による同様の穀物への被害が報告されており「広い中国の少なくとも一部の地域で食糧危機に面している」と認識していた。付け加えるならば、去年は三峡ダムの崩壊(大洪水)のリスクも懸念されており、中国当局における危機管理意識は高かったのでは。
中国は米中合意の中に、意図的に農作物の輸入量を増やすことを盛り込んでいた、とみている。あくまでこれは小生の推測である。が今回の原油の話を聞くと、まんざらでもない。
もし世界で食糧危機が起きても、中国は米中合意をうまく利用し、アメリカから輸入を増やし蓄えた農作物により食料危機を回避するのでは?と考えてしまうのは小生だけか。
将来起こり得ると想定する「危機」に対する、中国当局の対応はしたたかであり緻密である、ある意味すごい。
|ニュースを見て思い出したのは家庭におけるストックづくり
食糧危機を連想するニュースが先日もあった。最近の株が高騰している背景に世界の金余りが一つの要因として影響していると言うが、先物取引(大豆やとうもろこし)においても、そのお金が流れ込み高騰しているという。
今どこのスーパーに行っても、日本で食糧危機が発生する気配は微塵も感じない。日本においては、お米こそ自給率は高いが、大豆(7%)や小麦(13%)といった穀物の自給率は低い。
また、コロナ禍、第一波の時には、マスクがなくなり、ティッシュやトイレットペーパーがなくなった様に、情報の流れ方によっては、国民は不安でパニック状態になり、スーパーにあるモノもすぐになくなることは経験済みである。
何が起こるかわからない世の中である。
作物の価格が高騰し続ける、また世界中での被害が拡大し、入手が困難になりそうだという情報が流れれば、日本でも再びパニックになりかねない。
その様な事態を想定した時、どう備えるべきか?
ささやかであるが、一つの解決策として、日曜品や食料に関して、少しストックを持ち、先入れ先出しで消費していく仕組みを各家庭において築くとよいと考える。
1ヶ月でも2週間でも、ストックがあれば、非常事態と思しき情報が流れた時に、パニック状態に陥らず心のゆとりが持てるはずである。普段から、いざという時にゆとりを持てるだけの準備ができていないから、自分も含め不安になる、多くの人が同時に不安になると社会はパニックになる。
実際に仕組み作りを試みたことがあるが、我が家では全くうまくいかなかった。
「とりあえず、あれば安心」と考えられる、白米や玄米、醤油や缶詰、インスタント麺といったものを購入し、ストックしてみたが、先に購入したものから使用する、とか、使用した分を補充する、とか、がうまく機能しない。
いつでもお店にいけば購入できるという「便利な生活」が長いせいか、
「家にあるモノは使う、無くなれば買いに行けばよい」
という発想が根強く、危機に対するイメージ力が乏しい。
と感じつつ、いつしかこの仕組み作りをあきらめていたのを思い出した。
中国の様に、あらゆる危機に対して、緻密な準備としたたかな戦略をもって取り組むべき、とはいわないが『新しい日常』においては、何かあっても、多少心にゆとりが持てる様に、ちょっと生活レベルを上げておきたいものである。
その実現のためには「強大な敵」がいるわけではない。社会の中の小さなユニットである「家族」の理解と協力だけが必要である。
以上
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